命を救う「0秒名簿」②|能登で始まった避難所DXとは?リアルタイム避難者管理の仕組み
―― 能登の教訓を受けて、避難者情報を「速く・正確に」集める仕組みが動き出した。奥能登4市町の“避難所DX”を整理します ――
📌この記事の3つのポイント
- 奥能登4市町では、避難者情報をリアルタイムで把握する新しい仕組みが導入された
- マイナンバーカード、LINE、QRなど複数の方法で「最短2秒」の受付が可能になる
- 避難所DXは「受付の電子化」ではなく、支援を早く届けるための情報基盤
はじめに:能登の教訓から始まった「避難所DX」
第1部では、能登半島地震で明らかになった「紙の避難者名簿」の限界について整理しました。
紙の名簿では、情報の集計に時間がかかり、支援が必要な人の属性が把握できず、安否確認も遅れやすくなります。
この課題を受けて、石川県は特に被害の大きかった 輪島市・珠洲市・穴水町・能登町(奥能登4市町)とともに、 避難者管理の仕組みを根本から見直す取り組みを進めました。
そこで導入されたのが、民間企業が提供する「避難者マネジメントシステム」です。 これは単なる電子化ではなく、避難所の情報をリアルタイムで共有する防災DXの仕組みです。
▶ 松山かなの感想
災害時は、現場の人がどれだけ頑張っても限界があります。だからこそ、 「人の努力に頼らない仕組み」を作ることが大切なんだと感じます。
1.避難受付が「2秒」で終わる仕組み
新しいシステムの大きな特徴は、避難者の受付方法が一つではないことです。 例えば次のような方法が用意されています。
- マイナンバーカードのIC読み取り
- 運転免許証のIC読み取り
- LINE連携による事前登録
- QRコードによるチェックイン
- スマートフォンのWebフォーム入力
- 紙の受付票+OCR(文字認識)
つまり、避難者の状況に合わせて複数の受付方法が選べる仕組みです。
例えばLINEで事前登録している場合、避難所でQRコードを読み取るだけで受付が完了します。 この場合、受付にかかる時間は最短2秒程度とされています。
一方、マイナンバーカードを使う場合でも、受付時間はおよそ30秒ほど。 従来の紙受付(平均5分以上)と比べると、かなり短縮されます。
▶ 松山かなの感想
避難所の入口って、実はとても大事な場所です。そこで長く待たされると、体力も気力も消耗してしまう。 受付が早く終わるだけでも、被災者の負担はかなり減ると思います。
2.避難所の状況が「リアルタイム」で見える
もう一つ大きく変わるのが、避難者情報の共有方法です。 従来は「避難所 → 電話・FAX → 災害対策本部」という形で情報が伝わっていました。
しかし新しいシステムでは、避難所で登録された情報が即座に自治体の災害対策本部に共有されます。
本部の画面では、例えば次のような情報がリアルタイムで表示されます。
- 各避難所の人数
- 混雑状況
- 年齢構成
- 男女比
- 要配慮者の人数
これらがグラフや地図で可視化されるため、状況が一目で分かります。
▶ 松山かなの感想
災害時は「何が足りないか」が見えないことが一番怖い。データが見えるだけで、 判断のスピードは大きく変わると思います。
3.「要請待ち」から「先回り支援」へ
リアルタイムで情報が見えるようになると、支援の仕方も変わります。 例えば、ある避難所で「高齢者の割合が多い」というデータが見えた場合、 本部は現場からの要請を待たなくても、介護スタッフや高齢者向け物資などを先回りして送る判断ができます。
これは「プッシュ型支援」と呼ばれる考え方です。 従来は「現場が疲弊 → 要請が遅れる → 支援が遅れる」という流れになりがちでした。 データが共有されることで、支援の判断がより早く、より正確になる可能性があります。
▶ 松山かなの感想
医療でも同じですが、状況が見えると判断が早くなります。 支援も「お願いされてから動く」より、「必要なところに先に届ける」方が安心ですよね。
4.避難所以外の人も把握できる
もう一つ注目されているのが、避難所以外の避難者も登録できる点です。 例えば車中泊、親戚宅、自宅避難などの場合でも、スマートフォンから位置情報を登録することで、 行政側が把握できる仕組みが用意されています。
これによって、これまで把握が難しかった「見えない避難者」の状況も把握しやすくなるとされています。
▶ 松山かなの感想
災害関連死の多くは、避難所の外で起きると言われています。 だからこそ、「避難所に来ていない人」をどう把握するかはとても重要なテーマだと思います。
まとめ:避難所DXは「受付システム」ではない
この仕組みは単なる「避難所の電子受付」ではありません。 避難者情報をリアルタイムで共有することで、支援のスピードを上げ、 必要な物資を届けやすくし、安否確認を早くすることが期待されています。
防災DXとは「行政を便利にする仕組み」ではなく、 被災した人の安心を支える情報インフラとも言えるかもしれません。
次回・第3部では、この仕組みが市民にとってどんなメリットをもたらすのかを、 「避難生活」「安心感」「生活再建」という視点から整理してみたいと思います。
